奨学金の課題

    
      

学生の無関心に警鐘

             

 10月1日、深草学舎和顔館においてシンポジウム「奨学金問題をみんなで考えるために」が開催された。この講演は奨学金問題の第一人者であり、「奨学金問題対策全国会議」共同代表を務める大内裕和氏が講演を行い、奨学金問題やそれを取り巻く社会の現状に言及した。

      

 シンポジウムのはじめに、奨学金利用者である学生が現状の報告、奨学金返済についての不安を赤裸々に語った。現在の奨学金制度が本当に学生のやりたいことを支援するのに役立っているのか、そのような悲痛な声も聞かれた。事実、奨学金の返還が困難になっているということがシンポジウムの中で取り上げられた。

      

 2010年の調査によると日本学生支援機構の奨学金についての滞納者は33万人にものぼる。また、裁判所を使った「支払督促」の申立件数も04年から11年にかけて50倍にも拡大している。延滞金発生後の返済では、お金は延滞金の支払いに充てられ、次いで利息、そして最後に元本に充当される。つまり延滞金、利息の支払いが終わらない限り、半永久的にお金を支払い続けなければならない。

      

 また、無利子奨学金枠の少なさも問題である。近年、予約採用の段階で無利子貸与の希望者は毎年2万人ずつ増加しているにも関わらず、採用枠が少ないために、09年には78%が不採用となった。将来の返済の不安から奨学金を借りることの抑制、そして学生時代に負った奨学金という名の借金が結婚、出産などその後の人生を左右してしまうのだと警鐘を鳴らした。

      

 大内氏ら「奨学金問題対策全国会議」は13年に結成され、現在に至るまで問題の改善に尽力してきた。16年、政府が打ち出した「ニッポン一億総活躍プラン」において、大学生らを対象とした返済不要の給付型奨学金の創設検討方針が盛り込まれ、同年の参議院選挙で大きな話題となった。それに伴い、大内氏らが呼びかけ人となり、関係省庁、国会議員、マスコミにアピールを行った。その結果、翌年18年4月から給付型奨学金が本格導入される。

      

 今後も、有利子枠の奨学金廃止によって無利子、給付型の増加、最終的には給付型奨学金制度への完全な移行を目指す。奨学金利用者へは奨学金の利用が学生生活、卒業後の生活にどのような影響を与えるのかを今一度考える必要があると訴えた。

      

           
    

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