我聞如是《が~も~んにょ~ぜ~》

~相模原障害者福祉施設事件から~

2016年7月26日未明、神奈川県相模原市にある障害者福祉施設に刃物を持った男が侵入し、19人が死亡、26人が負傷した。この事件により死亡したのは、いずれも施設の入所者であった。犯人は施設の元職員であり、事件前から重度の障害者の安楽死をほのめかす発言をしていた▼この事件が社会に与えた影響は大きいだろう。多くの障害者団体が犯人の思想に緊急声明を発表し、犯人の思想を非難した▼『平成28年版障害者白書』によると、身体障害者は393万7千人、知的障害者は74万1千人、精神障害者は392万4千人となっており、国民のおよそ6・7パーセントが何らかの障害を有していることになる。この数字を少ないと感じるだろうか。しかし、障害者一人一人に家族や友人など支える人がいるとすると、何らかの形で障害者に関わる国民の人数は少なくない▼事件の影響によって障害者が社会との関わりを恐れてしまうことが懸念される。多くの国民が障害者と関わりを持っているはずの日本でなぜこのような事態が起こるのか。身近な出来事からそれはうかがえる。最近、飲食店ではタッチパネル式の注文システムが取り入れられているのを目にする。店員が注文を聞きにくる手間が省け、非常に効率が良い。しかし視覚障害者への考慮がなされていないことがほとんどである。この出来事に限らず効率を重視し、無意識のうちに使うことができない人を遮断したケースは多い▼全盲の弁護士、耳の聞こえないプロ野球選手、知的障害をもつ水泳選手。障害の程度は違えど、それぞれ可能性を秘めた存在である。社会に出なければ才能も可能性も発揮することはできない。だからこそ誰もが社会に関われるように、無意識のうちに築いた障害者との障壁を壊さなければならない。そうすることで障害者の不安も軽減できるのではないだろうか。効率や能力のみを重要視し優先する社会は誰もが息苦しい。今、人の根本にある道徳心が問われている。

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