仏教の縁起の考え方
顕真アワー開催

  • 能仁教授

    講演をする能仁教授〔紙面掲載〕

  • 能仁教授

    講演をする能仁教授

 11月25日、本学大宮学舎本館講堂にて、「人は何処から来て何処に行くのか」と題して顕真アワーが開催された。本学文学部仏教学科の能仁正顕教授が講演を行った。

 重要文化財に指定されている本館の荘厳な雰囲気の中で、参加者は皆で仏説阿弥陀経を唱えた。その後に講演が行われた。

 講演では、まず日航機墜落事故について語られた。1985年8月12日の夕方、乗員乗客合わせて524人を乗せたジャンボジェット機は羽田空港を伊丹空港へ向けて飛び立ったが、長野県との県境に近い群馬県上野村の御巣鷹の尾根に墜落し、520名の尊い命が失われた。当時、能仁教授は博士課程の大学院生だったという。事故のニュースを耳にした時は、自分とは関係の無い次元で、社会では大変なことが起こっている程度の認識であった。しかし、妹が乗っていたことが分かると状況が変わり、祈りは本来、浄土真宗の教えにはないが、妹が助かってほしいと阿弥陀仏に祈ったという。

 この事故は能仁教授の研究の方向性に大きな影響を与えた。この世に仏は存在するのか、存在するとすればどのようにはたらいているのか。また、死者はどこへ行くのか、仏を祈願している私は何者なのかを疑問に思い、考えるようになったという。

 これらの疑問の答えとなるのがインドの高僧ナーガールジュナ(漢字文化圏では龍樹)が著した『中論』の中にある縁起の考え方である。縁起は、何ものも滅することなく、生ずることなく、来ることなく、去ることもない不生不滅、不去不来のものであると龍樹は説いた。縁起の概念を理解するのはなかなか難しいものだが、私が何処から来て何処へ行くのか、という問いの答えは、『中論』にある通り、何処から来ることもなく、何処かへ去るものでもないと語った。

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