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今読んでほしいこの一冊 ~カミングアウト・レターズ 子どもと親、生徒と教師の往復書簡~

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 11月5日から、東京都渋谷区で「パートナーシップ証明書」の交付が始まった。この証明書は同性カップルを結婚に準ずる関係として認める全国初のものだ。今後、同様の取り組みを行う自治体も多いだろう。

 そのような今だからこそ、読んでもらいたい一冊を紹介する。それは、『カミングアウト・レターズ子どもと親、生徒と教師の往復書簡』だ。

 カミングアウトという言葉には「自分が誤解や偏見を受ける少数派であることを公言すること」という意味がある。タイトルのカミングアウトはその少数派というのがゲイやレズビアンという同性愛者だと言うことだ。同性愛者であることを告白した者と、告白を受けた者との手紙でのやり取りが記録されている。

 大切な人だから自分のすべてを知ってもらいたい。しかし、告白することで相手を傷つけたり、相手から拒絶されたりするかもしれない葛藤。また、愛する我が子の勇気ある告白を整理しきれないもどかしさ。一方で、すんなり受け入れた兄弟。さまざまな立場のさまざまな気持ちが手紙という形で載っている。さらに、カミングアウトをしようと考えている人やカミングアウトを受けた人へという形で、解説も掲載されている。

 以前に比べればLGBTへの理解や認知が進んだかもしれない。しかし、20人に一人はLGBTと言われるが実際に身近にいると考える人は少ないという。気が付いていないだけで、身近な人がLGBTだという人も実は多いのかもしれない。『もし人生がやり直せるなら、私はあの日をやり直したいと願うでしょう。「何も心配しなくていいよ」って、あなたに言ってあげたい』息子への手紙にそう記した母。偏見ばかり聞き、同性愛について何も知らなかったから、カミングアウトをした息子を傷つけたと振り返る。

 理解しなくても、理解できなくても、ただ知っておくことは重要である。LGBTの権利が叫ばれる昨今、他人事だとは思わず、まず知ることが、大切なものを失わないためにできることではないだろうか。カミングアウトをした人、された人、しようとしている人、関係ないと思っている人、どんな人でも一度、目を通してほしい一冊である。

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