琵琶湖疏水とインクライン
京都を支えた文化遺産

本学の最寄り駅の一つである京阪電鉄の深草駅の沿線に川のようなものが存在する。あれは何だろうか、と疑問に思った新一回生の学友もいるかと思う。その川のようなものは「琵琶湖疏水」というものである。琵琶湖の湖水を京都市内に行き渡らせ、明治維新後の当時の京都に活力を取り戻すために建設された。

この琵琶湖疏水により、舟による大規模な輸送が可能となり、多くの貨物や旅客が運ばれるようになった。疏水の全長は、第一疏水だけで約20キロあり、第二疏水、疏水分線を合わせると約35キロにも達する。この長い疏水を用いて舟運を行う際に、どうしても水位の高低差が大きい場所に当たってしまう。その時に、舟がそのままでは通れないため「インクライン」というものが活用された。

インクラインとは、産業用に建設された鋼索鉄道のことを指し、工事現場での資材や山岳地帯での材木の輸送で用いられた。傾斜鉄道とも呼ばれている。琵琶湖疏水のインクラインは、線路を敷き、その上に乗せた台車に舟を積んだ状態で、水路間の高低差のある部分を通るために利用された。

琵琶湖疏水で用いられたインクラインは、日本国内でもたいへん広く知られている。中でも蹴上インクラインは世界一の長さを誇り、今では京都の観光スポットの一つとなっている。インクライン自体が形態保存されており、当時の様子も想像することができるだろう。春にはインクラインに沿って桜の花が満開になるため、桜の名所ともなっている。桜の見頃としては、例年通りなら3月下旬から4月上旬までとされている。

新一回生の学友も、一度足を運んでみて、昔の京都の産業を支えた文化財に触れてみてはいかがだろうか。桜の季節でもあるので、より美しいインクラインが見られるはずだ。

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