『納棺夫日記』著者講演
死の真実を知る大切さ

講演会「それからの納棺夫日記」が10月27日に本学深草学舎顕真館にて開催された。映画『おくりびと』の原案になった小説『納棺夫日記』の著者である青木新門氏が自身の経験などを基に講演した。

青木氏は「納棺夫」として働いていた頃の体験を語った。当時、遺体とかかわる仕事は白い目で見られ、叔父からは仕事を辞めるように言われるなど、周囲の風当たりが強かった。しかし、納棺夫としての自分を差別せず認めてくれる人物が現れ、納棺夫を続けることができたという。青木氏は、現代はヒューマニズムの時代で、自分に都合の悪いものは認めない社会であるが、それに対して「仏教には丸ごと認める能力がある」と語った。

ある日、青木氏は絶縁状態にあった叔父が末期がんであることを知り、見舞いに行った。すると、叔父は涙を流して「ありがとう」と繰り返し言ったという。青木氏は、人は自らの死を受け入れると、すべてのものが輝いて見え、その瞬間、何でも丸ごと認められるようになるとし、「叔父にもすべてが輝いて見えていたのでは」と語った。それ以降、納棺の際に遺体の顔を見るようになったという青木氏は、「皆、優しい顔に見えた」と述べた。

 また、青木氏は死に直面する仕事を通して学んだことを説き、遺族が臨終に立ち会い、死とは何かを五感で知る「いのちのバトンタッチ」が大切であるとした。しかし、現代は生に重点を置くため、臨終に立ち会う機会が欠落している。それにより死を五感ではなく、頭の中で考えて受け止めてしまう。青木氏は「核家族化で死の直後に会えず、いのちのバトンタッチがうまく行かない。死の直後でしか感じられないものがある」と主張した。

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