世界の窓

    
      

シリア終わりの見えぬ戦い

             

 2011年から今もなお続くシリア内戦。この戦いは民間人から多くの犠牲者を出し、死者は40万人にのぼるとも言われる。この戦いは独裁者アサド大統領の恐怖政治に対する民衆の蜂起から始まった。その先鋒として登場した組織が自由シリア軍(FSA)である。FSAは一部のシリア軍人が離反して作った組織である。組織が結成された後、多くの武装したスンニ派イスラム教徒の市民が参加した。参加といっても、多くは自発的に決起した反乱軍がFSAを自称した形である。そしてアメリカをはじめとした西側諸国はこのFSAを「穏健な反体制派」と呼称している。

      

 西側諸国は「穏健」という言葉をあえて使っている。これは反体制派にイスラム過激派が加わっているという情報があったためである。「テロとの戦い」に本腰を入れるアメリカにとって、テロリストを支援するということは決してあってはならない。そのため、FSAを支援する際にあえて「穏健」という言葉を用いた。

      

 現在FSAと自称する組織は100にも及ぶと言われ、その中にはヌスラ戦線のように名の知れた過激組織と連携している組織もある。こうした現状はこの組織を統率する司令塔が一切存在しないことが原因となっている。

      

 アサド大統領が倒されるべき存在であることは確かである。しかし、このような組織が実権を握ったところでシリアが平和な国になるはずがない。反政府組織が勝利した国には南スーダンがある。この国はシリア内戦勃発と同年である11年に独立したが、いまだに独立前の反政府組織間での派閥争いが続いている。独立後に国軍へと昇格したスーダン人民解放軍は大統領派と元副大統領派の内戦を引き起こし、副大統領派の政府軍は政府が要請した国連のPKOすらも攻撃している。

      

 もしシリアでFSAが勝利したとしても、100の組織は分断することなく平和で民主的な独立を守れるのだろうか。今日、シリアは世界で最も着目すべき地域の一つになっているといえるだろう。

           
    

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